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2006年02月22日

妻に先立たれても自立して生活を楽しむ

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2月20日(月曜日)
男のハウスキーピングは合理的。けれど、彼の場合は細かいディテイルまでエンジョイしている!そう感じたのは、ウッレ・ オルソンさん、77歳の家を訪ねた時です。彼は「男の料理教室」のリ-ダーです。お茶によばれたので、 午後2時にウッレさんの家を訪ねました。駅からすぐそばです。ダイニングキッチン、居間と寝室というペンショナー(65歳以上の年金生活者) が住む典型的なアパートです。掃除が行き届いていて、温かな空気を部屋に入った瞬間に感じました。クラシックの音楽が低く流れていました。 いつも音楽を聞いているのだそうです。「テレビはあまり見ないけれど、ビデオで映画は見るよ」 とダビングしたビデオのコレクションを見せてくれました

彼のハウスキーピングのすばらしさは台所の清潔感。調味料の洒落た並べ方だけを見てもわかります。料理好きな彼の台所は魅力的。 この調味料の上に古いクッキーや紅茶の缶が並んでいます。こちらでは懐かしい古い缶をのコレクションをしている方が多いです。 飾り付けに細かな神経が行き届いています。

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彼は料理が得意だけではなく手芸も得意。ウッレさんが私たちに見せたかったのは、プチポワンという刺繍です。 このプチポワン、オーストリアの修道女が昔やっていたもので、とても繊細な刺繍で技術が要ります。私が働いていた 銀座和光 ハンドバッグ売り場に、35年ぐらい前、 陳列していた本場オーストリアのプチポワンのパーティバッグの値段は35万から50万もしていました。 家庭を中心に発達したスウェーデン刺繍の大まかさとは違い、目が細かいのです。。糸の取り方に番号を振り、 彼なりの工夫をしているのが、上記の写真。

スウェーデンの画家が昔描いた絵を刺繍で再現したのが、下左の絵です。 糸と布と下絵がパッケージで売られています。これは出来上がりまで4ヶ月かかったそうです。ああ、 手芸が苦手な私はスウェーデンには住めない・・。スコーネの人々の手仕事へのこだわりはかなりです。器用な日本人が、戦後、 瞬く間に失った手芸、洋裁、手工芸が今もここに残っています。日本でも伝統工芸の職人さんには長寿の方が多いですが、 手仕事はボケ予防に最適。それに没頭していると、孤独感を忘れるでしょう。「女がすなる刺繍」 を男の沽券にかかるなどといわないでトライしている姿に感服しました。若い時にはもちろんやらなかったけれど、 亡くなられた奥様の手ほどきである時から突然始めたそうです。

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彼の趣味の範囲は広く、料理、お菓子作り、刺繍、木製の飛行機のプラモデル作り、カメラ、読書などなど。 読書に関しては「ブックミーティング」の10人で構成するグループを持っています。今はスコーネの歴史をみんなで読んでいるそうです。 同じぐらいの規模の女性のメンバーが多いグループがもうひとつあり、今年、5月に二つのグループ合同で、 今読んでいる本に登場するスコーネの町を訪 ねる小旅行を計画しています。

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「ひとり暮らしを淋しいと感じたことはありませんか」という私の質問に、「淋しいと感じたことはないよ。 ひとりでいたい時もあるし、アメリカに44歳の娘がいるんだ。エスロブには49歳の息子がいるしね」とたんたんと答えます。去年、 娘さんが住むアメリカのノースカロライナ州を訪問した時の旅行記が下記の写真のファイル。 文章と写真がセンスよく編集されています。

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1997年に妻がなくなり、妻をとても愛していたから本当に悲しかった。しかし、ためらうことなく、 すぐ家を売ってここに引越す決断をしたといいます。子供たちが驚くほど早く、今の環境を作り出したそうです。 自分は誰にも依存しないで生きていると語ります。毎日を忙しく、健康に、ストレスを避けて過ごせればそれで十分だと思っているそうです。

この日、通訳をしてくれていたシーマさんが言いました。「子供への最大のプレゼントは親の自立ね」。印象的な言葉でした。 エスロブの元気な高齢者は、自分の人生の意味「ミーニング・オブ・ライフ」を自ら探し出し、忍耐強く行動していると感じました。 日本では高齢者の一人暮らしを危惧する向きがあります。高齢化社会を支えるものは「人に依存しないで生きる」 「ひとりの時間を豊かに過ごせる」この2つだと実感しました。ウッレさんは、
毎朝、鏡を見て自分で自分に「おはよう」と語りかけて一日を始めるそうです。

彼を物語っているのが、下記のノートの記録。
1962年から、 お天気と気温を一日も欠かさずに記録しているそうです。シーマさんと驚きの声を上げてしまいました。 何でも小さな積み重ねが価値を作り出すのですね。

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投稿者 :rumi  |  2006年02月22日 01:46

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