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2006年03月14日

カリダールに住むスティグさん

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3月3日(金曜日)

今日はカリダールという高齢者の集会所がある建物に併設された高齢者アパートに住むスティグさんを通訳のシーマさんと訪ねました。 スティグさんは、カリダールの集会所に行くといつでも会えます。集会所が彼の居間のような存在。朝も新聞を自宅から持ってきて、 集会所のロビーで広げて読んでいます。読んでいるうちに、ここで働くアンダーナスが来て、隣に座り、ちょっとした会話が始まります。 昼も男友達と一緒にカリダールの食堂で食べます。普通は59クローネ(850円)だけれど、年金生活者は39クローネ(560円) で食べられます。いい食事が一日一回、食事を作るのが面倒な男性も格安で食べることができるのです。 彼はここでビリヤードもよく楽しんでいます。

そのスティグさんの自宅でインタビューとなった時、彼は「朝食を一緒に食べない」 と通訳のシーマさんと私を誘ってくれました。僕は日本の男性と同じ、と自称するくらい家事は苦手という彼が豪華な朝食を用意してくれました。

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スティグさんは2000年に奥さまが亡くなられてから、 カリダールの高齢者アパートで一人暮らしを続けています。彼に簡単なライフヒストリーを聞かせてくださいと頼むと、ちょっと、 悲しい生い立ちを伺いました。彼は1922年生まれの84歳。生まれは、スコーネでも海よりのランドスクローナ。 5男1女の6人姉弟の末っ子。彼が2歳の時にお父さんが、6歳の時にお母さんが亡くなりました。幼い彼だけはおばさんの所に引き取られます。 エスロブ市の人々の朝食はオートミールが多いけれど、海の近くで育った彼は朝から鰊を食べていたと聞きました。

幾つからかはわからないけれど、大きくなった彼はエスロブ市の屠殺場(肉をカットする会社) で22年間働きます。結婚は24歳の時、1男1女に恵まれます。そして、通信教育で計理士の資格を取り、 1960年には自分の会社を持ちました。かなりよく働いた彼は、奥さんには家にいて欲しかったので、 彼の奥さんは下の子を産んでからは専業主婦だったそうです。楽しかったのは、当時、 エスロブにできたホテルに奥さんとダンスをしに行ったこと。1950年代のことです。

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スティグさんの話を聞いていると、スウェーデンの経済が成長している時代が髣髴と浮かんできます。 カリダールの高齢者アパートはさまざまな人生を過ごしてきた人々の終の棲家。でも、安心して住める住宅だと思います。 スウェーデンでは昔このようにしてコーヒーを飲んだのだと教えてくれました。

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投稿者 :rumi  |  2006年03月14日 09:25

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