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2006年06月09日

雇用の創出が福祉のリソース(資源)

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6月1日(木曜日)

今日は「“Gunel・グンネル”の日だから、グンネルに会ったら最初にそのことを話すといいわよ」 とクリスティーナ・ウォーミングさんがアドバイスをしてくれました。欧州では365日に、キリスト教の聖人の名前がついていて、 今日はグンネルという聖人の日だそうです。スウェーデンではもちろんルーテル派の聖人でしょうが・・。 今日は市庁舎で2回のインタビューする予定。午前中は、行政部門で働く、グンネル・へリストロンさんに会いました。彼女の仕事は市の貿易・ 観光・産業を担当する責任者。といってもたぶん部下はいなく、エスロブ市に3000社ある企業の窓口を1人で勤めています。 市庁舎の2階に行政部門のオフィスがありますが、長い廊下には個室が連なっているだけ。1部門1人が責任を持ち働いています。 秘書はいるようですが、数は多くないようです。

人口3万人と言われるこのエスロブ市に初めて足を踏み入れた時、 この素晴らしい福祉の財源となる産業はどうなっているのだろう。農業だろうか。商店の数は少ないし、企業といってもあまり見かけないし・・。 と大きな疑問を持ちました。私の学生寮がある旧市内は、60年前に建ったという、 日本でいうと田園調布が貧弱に見えるぐらい立派な家々が残っています。住人は変遷しているようです。しかし、ここに家を建てた人たちは何でお金儲けをして、こんなに立派な家に住めたのかは、大きな謎でした。 どこを歩いても、この町にはお金儲けの場が見当たらない・・。

ところがある日、見落としていた地域があることがわかりました。 線路をはさんで向い側のバリアという地区です。ここは奥行きが広いことがわかりました。そこである時、 探訪してみるrと実にたくさんの工場があるのです。小さな時、私が生まれた東京大田区には、住宅地の隙間に小さな工場がありました。 スウェーデンでは工場は1地域にまとまっているのです。バリアの工場地域は富士の裾野の樹海とまではいかなくても、広いのです。 私はこれらの企業のことが知りたくなりました。そこで、あるパーティであったグンネルさんに会いたくなったのです。

話は変わり、グンネルさんは、私と同じ1947年生まれですぐに59歳。スウェーデン最大の湖、 ヴェーネルン湖の南にある町の出身です。ルンドにある秘書学校で勉強をしたのち、1969年からの秘書業務を皮切りに、 今の職を得る前はアッカ・マンという大手企業のセールス・プロモーションや広報担当を長年担当し、キャリアを磨いてきました。 専門的知識はどうやって勉強したのかと聞くと、マルモの単科大学の講座で、休みの日に勉強したという答えが返ってきました。 マルモはスウェーデン第3の町で、エスロブ市から電車で40分ぐらいの町です。

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写真は今年3月8日にこの地区を1人で探訪したもの。まだ、雪が残っていました。交通の要所であり、 地価も安いエスロブ市には外国企業も含めたくさんの工場が集まりました。「たくさんの会社があります。 オーナーはスウェーデン人ばかりではありませんが、エスロブに住んでいる人も多いので理解はしてくれています」。 スウェーデンでは日本と同じように安い労働力を求めて企業が外国に工場を作る傾向があります。「ボルボ(世界的な自動車企業) の農業耕作機の工場もエスロブから韓国とドイツに移りました」とグンネルさんは語りました。何しろ、 スウェーデンでは企業の従業員への社会保障の負担も高いので、人件費は高くなり勝ちです。 2時間のインタビューはとても情報が詰まっていました。

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スウェーデンでは企業が払う税金は国に集まりますが、 市民が払う税金が地方自治体の財源になるわけです。エスロブ市の収入の58%が市民税。「企業が市に集まる効用は、市が活力を得ること」 とグンネルさんは語りました。つまり、市民税を払う人が増え、エスロブ市に人々が住みたいと思い、税が集まる。福祉の財源が増える訳です。 雇用の創出が福祉の充実につながるのでしょうか。

投稿者 :rumi  |  2006年06月09日 05:15

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